「解雇無効の判断」と「不法行為該当性の判断」を特に区別せずに逸失利益を判断した裁判例 | 警備業界、警備会社、警備員における問題点   

2016年10月6日木曜日

「解雇無効の判断」と「不法行為該当性の判断」を特に区別せずに逸失利益を判断した裁判例

厚生労働省・第7回 透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会(平成28年6月6日)より

  
テイケイ事件(東京地判H23.11.18労判104455

【解雇の種類】・普通解雇

【請求内容】・不法行為に基づく損害賠償請求(逸失利益賃金2年分相当額、他の行為も合わせた慰謝料140万円)

【判決】・一部認容(逸失利益賃金34週分相当額(以後相当期間にわたって勤務していた可能性が高い、再就職が困難))、慰謝料請求は棄却。

・以上のとおり、被告が本件解雇に係る解雇事由として主張する事項は、その存在が認められないか、解雇事由に該当すると認められないか、又は解雇事由に該当するとしても当該事由に基づいて解雇することが客観的合理性及び社会的相当性を有するとはいえないものである。
このことに加え、原告が、被告に対して繰り返し勤務日数ないし勤務時間数について苦情等の訴えや改善要求をしていた一方で、与えられた勤務自体は継続し、その際当該勤務上の指示にも従っていたことも併せかんがみれば、本件解雇は、客観的合理性及び社会的相当性を欠くものであって、無効であったというべきである。
そして、かかる本件解雇の無効及び前記認定事実に係る本件解雇に至る経緯にかんがみれば、本件解雇は、それ自体権利濫用に該当し、不法行為に該当するものと評価すべきである。

・本件解雇は無効かつ違法なものであるところ、原告は、平成3年から被告に期間の定めのない従業員として勤めており、本件解雇がなかったならば、以後相当期間にわたって被告に勤務していた可能性が高いと考えられる上、少なくとも前件訴訟に係る訴えを取り下げる平成20年3月17日までの間、原告は被告に対し、継続的に労働契約上の権利を有することの確認を求めていたこと、本件解雇により、被告からの収入を絶たれ、その年齢から見ても再就職が困難な状況に置かれたことからすれば、本件解雇前3か月の週平均賃金額の34週分をもって、被告による違法な本件解雇との相当因果関係のある損害(逸失利益)と解するのが相当である。

・本件解雇後の相当期間の得べかりし利益の損害賠償が肯定される本件において、更に精神的苦痛に係る損害賠償を認めるのは相当ではないから、この点に関する原告の主張は採用できない。

厚生労働省・第7回 透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会(平成28年6月6日)より

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