警備業界、警備会社、警備員における問題点: 5月 2018   

2018年5月9日水曜日

人口減少時代における警備業務の在り方に関する報告書


「人口減少時代における警備業務の在り方に関する有識者検討会」より 2018/4

人口減少時代における警備業務の在り方に関する報告書

平成30 年4月

人口減少時代における警備業務の在り方に関する有識者検討会

第1 はじめに

我が国における警備業は、昭和37 年に初めて専業の会社が設立され、以来、企業の合理化に伴うニーズや国民の安全に対するニーズの高まりなどの社会の需要に応じて急速な発展を遂げてきた。
警備業法が施行された昭和47 年における全国の警備業者は775 業者、警備員数は約4万人であったところ、平成28 年末における全国の警備業者数は9,434 業者、警備員数は約54 万人となっている。
現在、警備業は、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、現金輸送警備、ボディーガード等の様々な種別があり、国民に幅広く生活安全サービスを提供する産業となっている。
また、空港や原子力発電所等の重要施設での警備も行っているほか、東京2020 リンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京2020 大会」という。)の警備においても大きな期待が寄せられるなど、警備業に対する社会的な需要は増大している。
一方、警備業における人手不足は深刻であり、平成28 年度の警備員の有効求人倍率(「職業安定業務統計」厚生労働省)は6.53 倍と全職業の1.10 倍と比較しても、その厳しさがうかがわれるところである。
加えて、警備業においては、警備員の賃金の低さや社会保険未加入の問題が顕在化するなど、人手不足の改善を図る上で様々な課題を抱えている。
こうした中で開催される東京2020 大会においては、世界中から多数の外国要人、選手団、観客等が集まることから、高いセキュリティレベルを確保する必要があるが、警備業者は、その警備における一時的かつ大量の需要にも対応することが求められている状況である。
戦後一貫して増加を続けた我が国の生産年齢人口は、平成7年の8,726 万人をピークに減少局面に入り、平成27 年の国勢調査では7,728 万人となり、平成41 年の出生中位推計では7,000 万人となることが予想されている(「日本の将来推計人口」国立社会保障・人口問題研究所)。
このように、我が国においては、長期的にみても、少子高齢化・人口減少が進み、人手不足は継続することが見込まれていることから、労働集約型産業である警備業においては、就業を促進するとともに、生産性を向上させていく取組が求められるところである。
このような状況を踏まえ、今後も警備業が生活安全産業として社会の安全安心の実現に寄与し続けるものとなるために警察庁や(一社)全国警備業協会及び都道府県の警備業協会(以下「業界団体」という。)が中心となって取り組むべき施策を検討することを目的として、有識者により構成される「人口減少時代における警備業務の在り方に関する有識者検討会」が開催されることとなった。
有識者検討会においては、警備業者等に対するアンケート調査及びヒアリングを行い、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備等の警備業務の種別に応じた生産性の向上や人材確保の困難性などを踏まえつつ、人口減少時代における警備業務の在り方について、各委員が意見を述べ、幅広い議論を展開した。
本報告書は、その結果を取りまとめたものである。

第2 人口減少時代における警備業務の在り方

ICTIoT、ロボット等の技術の活用による警備業務の生産性の向上

(1) ICTIoT、ロボット等の技術導入の支援

近年、一部の警備業者においては、生体認証技術、情報通信技術、ドローン等の様々な技術を活用した警備業務が行われており、中には、警備ロボットの研究開発を行っている事例やこれを実用化している事例も見受けられる。
一方、多くの警備業者では、こうした取組は進んでおらず、警備業者に対するアンケート調査では、警備業者は人手不足を実感しているものの、その対応策に関する回答は、「採用活動の強化」や「賃上げ等の処遇改善」が多数を占め、「ICToT、ロボット等の先進技術を導入した業務の高度化・効率化」は、極めて少数であった。
また、警備業者がICT 等の技術を活用していない理由は、「技術に関する知見がなく、導入の可否の判断が困難」が「導入に伴う当面のコスト高」を上回っていた。
したがって、多くの警備業者においてICT 等の技術導入が行われていないのは、導入した場合の成果を含めた技術に関する情報の不足によって、導入への関心が高まらないことが原因の一つと考えられる。
これらのことから、今後、警備業におけるICT 等の技術に関する需要を顕在化するためには、警備業者への情報提供等の支援が必要である。
具体的には、業界団体が中心となって、ICT 等の技術を活用した警備業務の事例やICT 等の製品に関する情報を幅広く収集し、ICT 等の技術導入が進んでいない警備業者に提供するなど、警備業者がICT 等の技術を容易に取り入れることができるような支援を検討することが望まれる。
また、中・長期的には、警備業者と開発事業者のマッチング、警備業者が開発事業者の試作品を活用できる機会の提供、産学連携による技術開発等、警備分野における技術革新によって新たな需要を喚起する取組についても、業界団体が中心となって検討することが望まれる。
こうした取組が、警備業務の質や生産性の向上だけでなく、警備分野における技術の研究開発を促進し、人口減少時代における警備業の健全な発展につながるものと考えられる。

(2) 検定合格警備員の配置基準の見直し

警備業法では、イベント警備等の雑踏警備業務、空港保安警備業務、高速道路等で行う交通誘導警備業務等の特定の警備業務には、公安委員会が行う検定に係る合格証明書の交付を受けている警備員(以下「検定合格警備員」という。)を配置することが義務付けられている。
その配置の基準は、警備員等の検定等に関する規則において、例えば、「雑踏警備業務を行う場所(中略)ごとに、1人以上」、「空港保安警備業務を行う場所ごとに、1人以上」、「交通誘導警備業務を行う場所ごとに、1人以上」などとされているが、この場所の範囲(距離、面積等)については具体的な定めは設けられておらず、ICT 等の技術の活用した場合における雑踏警備業務等の検
定合格警備員に係る配置基準についても特段の定めは設けられていない。
そこで、検定合格警備員を効果的に活用するとともに、ICT 等の技術導入を促進するため、例えば、現場を監視する技術の導入状況に応じて場所の範囲を設定するなど、ICT 等の技術の活用を配置基準に反映させることが考えられる。
これらのことから、警備業務の種別ごとのICT 等の技術導入の進展や実用化の状況、ICT 等の技術を活用した警備の有用性、安全性等を踏まえつつ、警察庁において、ICT 等の技術の活用を踏まえた検定合格警備員の配置基準の策定について検討することが望まれる。
なお、この検討に当たっては、単に省人化を目的にするのではなく、警備現場の混乱防止や安全確保を念頭に置く必要がある。

2 大規模イベントにおける警備員とイベントスタッフ及びボランティアとの連

(1)   イベントスタッフ、ボランティアを対象とした講習会の実施

スポーツイベントや博覧会などのイベント会場においては、警備員による雑踏警備業務が行われているほか、イベントスタッフやボランティアによる受付等の業務が行われている事例がある。
こうした大規模イベントにおける運営に関して、イベント会社及び警備業者に対するアンケート調査では、「警備員、イベントスタッフ、ボランティアの連携不足により、突発的な課題の対処で混乱することがあった。」といった意見が多数を占めた。
東京2020 大会では、多くのボランティアの参加が見込まれていることなどを踏まえると、大規模イベントの警備に当たっては、警備員だけでなく、イベントスタッフ、ボランティアの効果的な活用とこれら相互の緊密な連絡調整が必要である。
これらのことから、今後は、イベント主催者等の依頼により、警備業者が、イベントスタッフやボランティアに対して、大規模イベントの安全確保に必要とされる知識に関する講習を行うなど、各主体の連携強化に取り組むことが望まれる。
この講習の内容については、一定の水準を確保する必要があることから、講習に使用する教材の作成については、業界団体が中心となって検討することが望まれる。
また、ボランティア等による継続的な活動を促すため、講習を修了したことを証するものの交付についても検討することが望まれる。
こうした取組が、イベントの安全確保や円滑な開催につながるとともに、東2020 大会をはじめとする大規模イベントへのボランティアの参加促進や警備業界への新たな人材の登用にもつながるものと考えられる。

(2)   警備員の効果的活用を考慮した警備業務の明確化

警備業法では、イベント警備等の雑踏警備業務は、「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」と定義されているものの、こうした現場で行われる受付、案内、誘導等の位置付けについては明確にされていない。
一方、東京2020 大会におけるボランティア活動の中で、参加を希望する業務は、一般の会社員等に対して行ったアンケート調査では、「会場内誘導・案内」が多数を占めた。
大規模イベントにおける警備員の需要の増加が見込まれる中で、イベントの安全を確保するためには、専門的な知識及び能力を有する警備員を効果的に配置するとともに、イベントスタッフやボランティアとの役割分担を明らかにすることが必要である。
これらのことから、今後は、警察庁において、イベント会場で必要とされる業務の中で、警備員が行わなければならない業務を具体的に明確にすることを検討することが望まれる。

3 警備員教育・検定の合理化等

(1)   警備員教育の合理化

警備員教育は、警備業法及び下位法令において、警備業者がその警備員に対して行わなければならないこととされており、教育事項、教育時間数、実施方法等が定められている。
また、警備員のうち、一定の経験を有する者や検定合格警備員等については、教育時間数の一部又は全部が免除されている。
この警備員教育に関して、警備業者に対するアンケート調査では、警備員の稼働時間を確保したいなどの理由で、教育時間数の削減を求める意見や教育に係る負担の軽減を求める意見があった。
他の産業では、社員教育にeラーニングを導入する企業があるなど、社員教育の多様化が見受けられるところである。
警備員教育は、警備業務の適正な実施を確保する上で重要なものであり、警備業者及び警備員は、警備業務に関する知識及び能力の向上に不断の努力を重ねなければならないが、警備業の生産性の向上や警備業者の負担軽減を図るためには、他の産業における多様な教育の実施方法を参考にしながら、合理化を図ることが必要である。
これらのことから、今後は、警察庁と業界団体が連携して、警備員教育にeラーニングを導入するなどして、教育の実施方法を合理化することや、警備員の中には、経験の違いや検定取得の有無以外にも、警備業務に関する知識及び能力に様々な違いがあることから、こうした違いに応じて警備員教育の時間数を見直すことなどを検討することが望まれる。

(2) 検定制度の見直し

検定制度は、警備員の専門的知識及び能力の向上のためのものであり、警備業法及び下位法令において、検定は公安委員会が行うものとされ、その実施基準や合格基準などが定められている。
また、検定合格警備員となるには、公安委員会が行う検定を受ける方法のほか、登録講習機関が行う講習会の課程を修了する方法があり、検定合格警備員の多くは、この登録講習機関による講習会の課程を修了した者である。
平成28 年末において、全国の警備員約54 万人のうち、検定合格警備員は約15 万人であるが、警備業務の質や生産性の向上を図るためには、より実践的な能力を有する検定合格警備員の増加が必要である。
この検定制度に関して、警備業者に対するアンケート調査では、検定及び登録講習機関の試験の合格基準(現行は90%以上)の見直しを求める意見、学科試験の内容を法令知識より現場で役立つ知識を重視することを求める意見、登録講習機関による講習会の実施回数の増加を求める意見があった。
検定制度は、警備員が一定水準以上の知識及び能力を有することを公的に認めるものであり、警備員が知識及び能力の向上に努め、警備業者が警備員の効果的な教育に努めることを促すことにもつながるものであることから、警備業の現状を踏まえ、試験の内容を一層実践的なものとするなどの見直しが求められるところである。
また、登録講習機関が行う講習は、検定合格警備員の育成に大きな役割を果たしており、この講習の受講者を増やすことは、検定合格警備員の増加につながるものであることから、講習の教育効果に支障がない範囲において、講師1人当たりの受講者数等の講習の実施基準を見直すことも考えられるところである。
これらのことから、今後は、警察庁において、公安委員会が行う検定や登録講習機関が行う試験の内容については、検定合格警備員に求められる知識及び能力の水準を維持しつつ、警備業務の現場の実務で必要とされる知識及び能力を問う一層実践的な内容への見直しを検討するとともに、検定及び登録講習機関の講習の実施基準の見直しを検討することが望まれる。

4 中小規模の警備業者の付加価値向上への支援

全国の警備業者のうち、警備員数100 人未満の警備業者は全体の約9割を占めている。
警備業では、社会保険未加入等の問題が顕在化しているところであるが、これは、中小規模の警備業者による警備料金の引き下げ等を通じた過当競争が原因の一つであり、こうした問題が人手不足にもつながっていると考えられる。
人手不足の要因に関して、警備業者に対するアンケート調査では、「賃金水準が低く、警備員の確保が困難」との意見が多かった。また、人手不足における警備業の経営支援として、警備業のイメージアップなどを求める意見があった。
一方、警備員の人手不足への対応策に関して、警備業務の発注者に対するアンケート調査では、「新たな警備業者を探す」が「警備料金の値上げ等の契約条件の見直し」を上回っていた。
これは、警備業においては、価格以外に他社との差別化を図る要素が乏しいためであると考えられる。
しかしながら、警備業務において重視することに関する発注者に対するアンケート調査では、「業務品質(業務遂行能力)」が「価格」を上回っているところであり、警備業者が警備員の育成等を通じて高めた価値を可視化することが、警備業者の競争力を高めることに寄与すると考えられる。
これらのことから、今後は、業界団体が中心となって、警備業者が、警備料金だけでなく、業務の質の高さに関しても競争力を高められるよう、警備業者の付加価値を向上させるための支援を行うことが必要である。
具体的には、警備計画の効率性、警備業務の確実性、発注者のニーズに応じたきめ細かな対応等により質の高いサービスを提供する警備業者や、優秀な人材の確保のために職場の安全衛生等に取り組む警備業者を賞揚して、発注者側に発信するなどの支援について検討することが望まれる。
また、女性用トイレや授乳室の安全確認、手荷物検査等で女性警備員が求められる機会の増加等、警備業へのニーズは種別に応じて多様化していることから、女性警備員が働きやすい職場環境づくりなどによって、こうしたニーズに対応する警備業者についても同様の支援を検討することが望まれる。
加えて、来訪者への接遇の技能など、警備業務の付加価値を向上させる技能を有する警備員の賞揚についても検討することが望まれる。
こうした取組が、警備業者による健全な競争を促すとともに、警備員の処遇改善や警備業のイメージアップにもつながるものと考えられる。

第3 おわりに

有識者検討会では、警備業を巡る人手不足等の問題を踏まえ、本報告書の論点ごとに、人口減少時代における警備業務の在り方に関する今後の方向性を示してきたところである。
本報告書において示されたこれらの方向性を踏まえ、警察庁及び業界団体において、取組が推進されることを期待するものである。
また、取り組むべき施策の中には、警察庁及び業界団体の取組だけでは十分な効果が期待できないものもあることから、警備業務の発注者や警察庁以外の省庁などの様々な主体と連携を図りながら、効果的取組が推進されることが望まれる。
なお、取組の推進に当たっては、警備業務の適正な実施を図る上で支障を来すことのないよう、十分に考慮されたい。
加えて、人口減少が進む中における警備業の在り方に関する論点は多岐にわたっており、本検討会で結論が出なかった点や議論が及ばなかった点については、社会情勢の変化に応じて必要な検討が行われることが望まれる。
最後に、今後も、警備業が、生活安全産業として健全に発展し、国民の安全安心に一層寄与することを期待している。

参考資料

1 人口減少時代における警備業務の在り方に関する有識者検討会委員名簿

【座長】
橋本 博之 慶應義塾大学大学院法務研究科教授

【委員】
熊野 義孝 公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会警備局装備調達担当部長
小松原 正浩 マッキンゼー・アンド・カンパニー シニアパートナー
福島 克臣 一般社団法人全国警備業協会専務理事
(五十音順・敬称略)

2 人口減少時代における警備業務の在り方に関する有識者検討会開催状況

【第1回(平成29 年9月27 日)】
○ 取組事例紹介
○ アンケート調査内容等に関する検討

【第2回(平成30 年1月24 日)】
○ 論点整理と検討の方向性
○ 自由討議

【第3回(平成30 年3月28 日)】
    報告書の取りまとめ__

「人口減少時代における警備業務の在り方に関する有識者検討会」より 2018/4


東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体


「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」より 2018/4/3

<報道資料>
2018年4月3日

東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体

東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた 警備共同企業体の設立について

本日4月3日(火)、東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京 2020 大会)に向けて、複数の民間警備会社から構成される「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」(以下、東京 2020 大会警備JV)が設立されました。
東京 2020 大会の「安全・安心」な運営は極めて重要な課題であり、国際テロ情勢なども懸念されています。
東京 2020 大会では各競技会場において多くの警備員を配置する必要があり ます。また、状況に応じて柔軟かつ効率的に対応できる人員配置を実現するため、会場間の統合的運用も必要となると考えられます。
これらの課題を解決し、民間警備会社として「安全・安心」な大会を実現する一翼を担うため、東京 2020 大会オフィシャルパートナー(セキュリティサービス&プランニング)であるセコム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:中山泰男)及び綜合警備保障株式会社(本社:東京都港区、社長:青山幸恭)の2社は、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(所在地:東京都港区、会長:森喜朗、以下、大会組織委員会)と協議を重ね、大会成功という使命を全うするためには、多数の民間警備会社の協力の下での 「オールジャパン体制」が最善であると判断し、東京 2020 大会警備JVを発足させることとしました。
警備JVという新しい形で大会の成功に寄与し、今後、この形が東京 2020 大会の「レガシー」として、今後の日本の「安全・安心」に活かされるよう活動してまいります。

1.設立の経緯

(JV方式の採用)

2013 年公表の大会開催計画文書「立候補ファイル」によると、東京 2020 大会では民間警備員1万4千人が従事するとされています。
東京 2020 大会は、競技施設を集約したオリンピックパークが存在しないほか、ロード競技も数多く行われることから、多数の警備員が必要となると考えられます。
民間警備会社にとって、通常請け負っている継続的な警備業務が並行して存在する中で、 東京 2020 大会のためにそのような多数の警備員を確保することが容易ではないことは、近年の各大会からもうかがい知れるところです。
さらに、東京 2020 大会においては、多数の競技会場がある中で、連日競技のある会場、数日しか使用されない会場が混在していることに加え、競技結果によっては来場者数の大きな変動も生じ、会場毎の業務量が大会中に大きく変動することも見込まれます。
そのような場合にも柔軟かつ効率的な人員配置を行うために、会場間の統合的運用も必要となると考えられます。
これらを踏まえ、東京 2020 大会の成功のために最善な形について、オフィシャルパートナー2社と大会組織委員会とで継続的な協議を行った結果、オフィシャルパートナー2社のみではなく、他の多くの警備会社も参画する「オールジャパン体制」が最善であると判断し、 いわゆるJV方式によって大会の成功に向けて邁進することを決定したものです。

(JV方式の利点)

JV設立による利点としては以下の点が挙げられ、これにより、大会の「安全・安心」な 運営に貢献できるものと考えています。

        警備員確保の不確実性を克服し、安定的かつ早期の人員確保の実現
        全体の警備員を一括で把握し、運用していく統合的運用の構築
        警備JVとして統一された教育を実施し、高いレベルでの警備品質の均一化

2.東京 2020 大会警備JVについて

(設立者)

東京 2020 大会警備JVは、共同代表となる「セコム株式会社」と「綜合警備保障株式会社」 の2社に加え、発足メンバーとして「公安警備保障株式会社」、「高栄警備保障株式会社」、 「株式会社シミズオクト」、「ジャパンパトロール警備保障株式会社」、「昭和セキュリティー株式会社」、「シンテイ警備株式会社」、「株式会社セシム」、「株式会社セノン」、 「セントラル警備保障株式会社」、「株式会社全日警」、「第一総合警備保障株式会社」、 「テイシン警備株式会社」(五十音順、正式名称)により本日設立されました。
この 14 社は 理事会社として東京 2020 大会警備JVにおける中核的な役割を担ってまいります。

(業務範囲)

東京 2020 大会警備JVは大会組織委員会が調達する予定の東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県及びその周辺の特定地域に係る東京 2020 大会の各競技会場・非競技会場等における警備業務を受託することを予定しています。
主な業務内容としてはスクリーニングと呼ばれる入場者の手荷物検査等のセキュリティチェックのほか、巡回警備、交通誘導、雑踏整理等の人的警備が想定されます。

3.今後について

本日付けで東京 2020 大会警備JVは、大会組織委員会と東京 2020 大会の警備受託に向けた覚書を締結いたしました。
本日以降、各警備会社に幅広く東京 2020 大会警備JVへの参加を呼び掛け、オールジャパンによる警備体制の準備を加速させてまいります。
最終的には 100 社以上の警備会社により構成される東京 2020 大会警備JVとして大会警備に臨むことを見込んでいます。
日本の警備業は東京 1964 大会を契機として急速な発展を遂げた歴史があり、今回の東京 2020 大会は、業界を挙げての恩返しであると考えています。
この東京 2020 大会では警備JVといった新しいモデルを確立するとともに、オリンピック・パラリンピックの「レガシー」 となるよう業界一丸となって活動してまいります。


「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体」より 2018/4/3