警備業界、警備会社、警備員における問題点: 1月 2017   

2017年1月12日木曜日

厚労省が都道府県労働局に通達


警備保障タイムズ「厚労省が都道府県労働局に通達」より 2016/2/11


警備員確保へ支援強化

厚生労働省は2月4日、都道府県労働局に対して「警備業人材確保対策の実施」を通達した。
警備業の有効求人倍率が他業種に比べて高いことや、東京オリンピック・パラリンピックでの警備員不足が見込まれることから、支援強化を図ることとした。
全国のハローワークでは今後、求職者へのパンフレットの配布など警備業務のPRや警備業への就業希望者への働きかけが強化される。

ハローワーク パンフ配布


公共職業安定所(ハローワーク)を中心に行われる対策は、求職者と求人者(警備会社)それぞれへの支援から構成される。

求職者への支援では、警備業での就業経験がない人で、警備業での就業に興味があるものの経験や資格を持たない人に、警備業に関するパンフレットの配布やセミナーなどの開催で、警備業務への理解を深めてもらう。
使用するパンフは、警備会社や警備業協会などが作成したものを用い、パンフは求めに応じ窓口などハローワーク内に備え置く。
セミナーは、警備業の仕事内容や就業の際の心構えなどをテーマとし、警備業への理解促進や就業希望者が増加するよう努める。
また、警備業未経験者や長期の職業上のブランクのある人には、「予約制」や「担当者制」を活用したきめ細かな職業相談や職業紹介などの支援を行う。
一方、警備会社には、求人受理の際に業務内容や深夜勤務の頻度などの労働条件、教育訓練や福利厚生面などの求人条件について十分聴取し、求職者の希望収入や希望勤務時間などの資料を提示するなど、求人条件が可能な限り求職者のニーズに沿ったものとなるよう助言や指導を行う。
また、求人が充足しない原因として、賃金や勤務時間などの求人条件が求職者の希望条件に満たない、求人票の記載が不明確――などが考えられることから、(1)求職者が希望する条件(2)実際に充足した(成功した)求人条件の情報提供(3)成功事例に基づいた求人条件の設定や変更の提案(4)分かりやすい求人票作成への相談・援助――などを行う。
さらに、警備会社のニーズに基づき、同求人に適合すると判断される求職者を選定、応募の意思を確認した上で警備会社に紹介するなど、求人側からの能動的なマッチングを推進する。
このほかにハローワークでは、現場見学会や小規模の就職面接会なども開催するとともに、事業所の雇用管理改善の指導や援助なども行う。
社会保険については、ハローワークに申し込まれる求人に、厚生年金などへの加入が適正な内容で明示されるよう、加入の確認と指導を行う。
これまで同省は、人手不足が深刻な「介護」、「保育」、「看護」などの業種にも同様の対策を実施してきた。
警備業については依然として他業種に比べて有効求人率が高いことや平成32年開催の東京五輪を見据えて今回の対策に踏み切った。
今後、同対策の実施に当たっては、都道府県警備業協会など地域の関係団体と連携して行っていく。

警備保障タイムズ「厚労省が都道府県労働局に通達」より 2016/2/11



人材確保 魅力ある職場を作る

警備保障タイムズ「人材確保 魅力ある職場を作る」より 2016/4/1


警備員の人手不足が深刻だ。厚生労働省によると、今年1月の全業種の平均有効求人倍率は1.28倍で、前月より0.01ポイント上昇。
警備業については平均を大きく上回り、中でも2号警備は20倍を超えているという。
2号警備業務をメインとする企業の経営者からは、次のような声が聞かれた。
「ハローワーク(公共職業安定所)中心に求人をかけているが、2~3か月に1人の面接希望者があればいい方だ」
「入社する人数より辞める人の方が多い。昔から長く勤めてくれていた警備員が高齢や体調不良で退職する率が高くなった」
「募集広告の効果がない。求人票の文面について警備保障タイムズの見出しからヒントを得るなど、工夫を凝らしていく」
リーマンショックの翌年、2009年の有効求人倍率は0・46倍まで下がったが、警備業はこうした不況時に雇用が活発化し、雇用の下支えの部分を担ってきた経緯がある。
しかし、今後は人材確保のために違う流れを作らなければならない。
厚生労働省は、警備業の有効求人倍率が高い状況や2020年東京五輪・パラリンピックで警備員の不足が予想されることから、警備員確保への支援を強化することにした(2月11日号1面)。
ハローワークを中心に、都道府県警備業協会などと連携し警備業についてのパンフレット配布やセミナー開催などを行う。
社会保険未加入問題における労務単価の上昇同様に、人材確保についてもこれから“追い風”が吹きそうだ。
警備業界がこの好機に目指すべきことは“魅力ある職場づくり”だ。
「働きやすさ」と「働きがい」が警備員の労働意欲、定着率を高め、結果的に会社の業績向上につながる。
警備業の中でも2号業務は、厳しい職場環境にある。
例えば時期によって発注量に波があったり、過酷で危険な場所の勤務が多く労災事故が起きやすい。
現場への直行直帰で人材育成が図りにくく、土日出勤やシフト制など勤務時間が一定ではない、という状況だ。
そうした中にあって「警備員重視」の職場環境へのシフトが、より求められている。
適正料金確保による賃金アップの他にも方法はある。
検定資格をとらせ“自分が期待され役に立っている”という意識を持ってもらう。
現場への配置はできるだけ本人の希望を尊重したり、職場環境について提案制度を設け警備員の意見に耳を傾ける、警備員の意見を経営計画に反映させる、といった取り組みが挙げられる。
長時間労働に対しては今後、労働基準監督署の指導が一層厳しくなる方向で、今こそ雇用管理全体を見直すときだ。
警備員の処遇・職場環境の改善を図る経営者に対し国から支給される助成金があり、大いに活用してほしい。
厚生労働省のサイトで「中小企業向けの職場定着支援助成金」をはじめ、詳しく紹介されている。
“魅力ある職場づくり”は“魅力ある求人条件”につながる。
多くの求職者に応募してもらい、質の高い人材を見つけて業績を伸ばすことが、業界全体が社会からの信頼を得ることに結びつくだろう。【瀬戸雅彦】

警備保障タイムズ「人材確保 魅力ある職場を作る」より 2016/4/1

http://kh-t.jp/thinking/thi-2016apr.html