警備業界、警備会社、警備員における問題点: 2020   

2020年3月6日金曜日

新国立競技場の警備会社で壮絶パワハラ疑惑 ホテル軟禁5時間罵倒

FRIDAY DIGITAL「新国立競技場の警備会社で壮絶パワハラ疑惑 ホテル軟禁5時間罵倒」より 2019/7/17

https://friday.kodansha.co.jp/article/55934

テイケイに勤めていた時にパワハラを受け、退職届を強制的に書かされた有賀政敏氏。
「会社は賃金約25万円も未払いだ」と訴える

「警察に突き出すぞ!」
「罪の意識はないのか。責任はどう取るつもりだ!!」

警備会社「テイケイ(旧・帝国警備保障)」に勤めていた有賀政敏氏(53)は、福井県内のホテルの一室で上司3人から激しく罵倒された。
テイケイは新国立競技場や豊洲市場の建設現場など、国や都のプロジェクトでも警備を担う業界大手。
そんな有名企業に、社員に対する壮絶なパワハラ疑惑が浮上しているのだ。
被害者の有賀氏が振り返る。...

「今年5月、私は北陸新幹線の工事現場警備で福井に出張していました。
仕事を終え同僚2人と食事をしていると、上司から『会社の幹部が来ているので寮に来てくれ』と連絡が入ったんです。
夜7時過ぎに寮に戻ると、常務など3人の幹部がいました。
すぐに車に乗せられ、向かったのはJR福井駅近くのビジネスホテル。
通された一室には、すでにイスが用意されていました。
私たち3人はそこに座らされ、過去に犯したミスについて責められた。
延々5時間、夜中の0時半近くまでです」

叱責は激烈だった。
有賀氏が続ける。

「『オマエら、なんでこんなミスをしたんだ。
面倒臭ぇことをしてくれたな。
これは警察沙汰だぞ!』と。
私のミスとは、数ヵ月前の昼休みに1時間ほど寝過ごしてしまったこと。
他の2人は、朝5分ほどの遅刻が数回あったことです。
寝過ごした当時、私は上司に『次から気をつけろよ』と注意されただけだったので『どうして今さら』という気持ちはありました。
ただ幹部たちのあまりの剣幕に、ひたすら謝るしかありませんでした」

「オマエらは犯罪者だ」

有賀氏がテイケイに入社したのは’18年3月。
交通誘導警備業務2級という資格をいかし、以前にも他の警備会社に勤めていた。
入社当時はなんの問題もなく勤務していたが、今年4月に社外組合「プレカリアートユニオン」に加入し、未払い賃金を請求すると状況は一変する。

「会社の先輩から『未払い賃金を取り戻して、働きやすい会社にしよう』と言われ、組合に入ったんです。
福井で働いていた同僚2人も誘いました。
ホテルで会社の幹部から激しい叱責を受けたのは、その直後のことです。
彼らは組合のことは口にしません。
ただ過去のミスを責め『徹底的に追い詰めるぞ!』と怒鳴るばかり。
最後は退職届を出し、こう突き放すんです。
『オマエらは犯罪者だ。
会社にいらねぇから、今すぐサインしろ』と。
『ハンコを持っていません』と言っても、『手印でいい』と朱肉を出してきます。
疲労困憊で思考能力も低下し、従うしかありませんでした」(有賀氏)

パワハラはこれで終わらない。

「常務たちは寮に戻った私たちに、『朝までに寝ないで荷物を片づけろ』と命令するんです。
私たちは徹夜で荷物を整理しました。
幹部たちは翌朝確認に訪れ、私たちは急に職を失い東京に戻されることになったんです」(同前)

有賀氏は月34万円ほどの収入がなくなり、預金を切り崩す生活に。
現在は「プレカリアートユニオン」を通じて復職を要請している。
有賀氏が語る。

「当時は突然のことで会社の言いなりになってしまいましたが、現在は違います。
労働審判でも、退職の無効を確認します。
今から考えると組合への加入者を増やさないために、私たちをスグに追い出したかったのでしょう。
高圧的な言動で仕事を奪うなんて許せません」

テイケイに事実関係をただすと、代理人の玉巻輝久(たままき・てるひさ)弁護士から以下のような回答があった。

「当社は適切に対応したと考えております。
言われのないことに、大変驚いております」

有賀氏は「泣き寝入りして悪しき前例になりたくない。
復職できるまで徹底的に闘います」と語る。

組合が届けた有賀氏の復職要請書に対するテイケイの抗議文。
従業員約1万人を擁する大企業が出した文書とは思いない乱暴な文面だ。



FRIDAY DIGITAL「新国立競技場の警備会社で壮絶パワハラ疑惑 ホテル軟禁5時間罵倒」より

https://friday.kodansha.co.jp/article/55934


2020年3月5日木曜日

新型コロナでも辺野古工事は中止せず 「濃厚接触」?市民と近い警備員、マスクなし

沖縄タイムス「新型コロナでも辺野古工事は中止せず 「濃厚接触」?市民と近い警備員、マスクなし」より 2020/3/3

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/541952

「新型コロナウイルスで、辺野古新基地工事は自粛しないの?」―。
沖縄防衛局は2日、こんな疑問に回答した。
工事を受注した業者に中止するかどうか意向を確認したところ、現時点で希望する社はないという。
防衛局を訪れた赤嶺政賢衆院議員(共産)に、西村拓次長が明らかにした。
辺野古では2日も埋め立て工事が確認された。
赤嶺氏は、市民が座りこんで抗議行動するキャンプ・シュワブゲート前で、市民と近い距離にいる警備員が「濃厚接触」に当たるとも指摘。
警備員がマスクを着用していないと問題視した。
防衛局は「警備、工事の受注者には感染予防のため手洗いうがい、体調の悪い人は休暇をとるように指示をしている」と述べるにとどめた。
沖縄タイムスの記者が2日正午過ぎに現場を確認したところ、警備員はマスクをしていなかった。
国直轄の公共工事を巡っては、国土交通省が感染予防策を決定。
受注者の意向を確認し、中止の申し出があれば一時停止や工期延長を認める。
防衛省も同様に対応している。

沖縄タイムス「新型コロナでも辺野古工事は中止せず 「濃厚接触」?市民と近い警備員、マスクなし」より

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/541952

孤独死した50代警備員の部屋に見た残酷な孤立-男は誰にも助けを求められずに最期を迎えた

東洋経済ONLINE「孤独死した50代警備員の部屋に見た残酷な孤立-男は誰にも助けを求められずに最期を迎えた」より 2019/07/28

https://toyokeizai.net/articles/-/292854

壁1枚隔てた隣の部屋で、床をうじがはい回る孤独死が起こったり、緩やかな自殺と呼ばれるセルフネグレクト(自己放任)に陥り、かろうじて命をつないでいる隣人がいたりする。
年間孤独死者3万人、孤立状態1000万人、それが私たちの生きている社会の現実だ。
じめじめした梅雨は、孤独死が多く発生する。
湿度は温度以上に、体を弱らせる強敵となる。
今この瞬間も特殊清掃業者は、休みなく働いている。
とくに「今年は例年以上に孤独死の件数が多い」との声が、業者たちから続々と寄せられている。
そのほとんどが、現役世代の孤独死だ。
私は『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』の執筆にあたり、孤独死を追い続けているが、その数は減ることはなく、ますます増えていると感じる一方だ。

亡くなられた方への思い

「セルフネグレクトに陥ってから、心臓が止まるまでの時間は、そう長くはないんです。
現役世代が抱えやすいストレスの多い社会は生きながら毎日を死に追いやってしまう。
僕は、亡くなった人の部屋を片付ける以上、どんな人で、何が原因で孤独死したかを知っておきたいんです。
僕が今、生きている人たちにメッセージとして伝えたいから」
この日も、(一社)日本遺品整理協会の理事、上東丙唆祥(じょうとう ひさよし)さんは、孤独死現場に足を踏み入れようとしていた。
6畳ほどのワンルーム。
この部屋で亡くなったのは50代後半の山田聡さん(仮名)で、死後1カ月以上が経過していた。
発見したのは管理人で死因は衰弱死、
もしくは突然死だと上東さんは推測する。
玄関には、杖が1本ポツンと掛けられていて、ドアを開けるとユニットバスは、黄色い尿入りのペットボトルで埋め尽くされていた。
ツンとした臭いが鼻につく。
空っぽのシャンプーやリンスが放置され、小さなキッチンには電気コンロがあり、冷蔵庫はワンドアタイプで中は空っぽだった。
ベッドはなく、読まれていない新聞で部屋中が埋め尽くされている。
36インチのテレビは、段ボールで支えられている。
簡易式の洋服掛けには、警備会社の制服や制帽が掛けられていた。仕事は警備員だったらしい。
入り口近くに、体液が広がり、凄まじい異臭を放つ。
山田さんは、ゴミに埋もれた形で死を迎えたのは明らかだった。
上東さんら特殊清掃人は、体液のたっぷりとしみ込んだ紙ゴミをビニール袋に詰めていく。
その下には、大量のうじがうごめいていた。
地方に住む両親からは、手紙や野菜、米などが定期的に送られてきていたが、そのままの状態で放置されていた。
食生活はほとんど外食で、炊飯器は何年も使用した形跡はなかった。
「スーツと革靴の数の多さを見ると警備が主な仕事で、激務だったんだろう。
性格は、神経質か几帳面で、人とのコミュニケーションは不器用か苦手なタイプ。
責任感が強く、関わる人たちに迷惑は絶対にかけたくないという思いがあったんだと思う」

ゴミに寄りかかりながらひっそりと

新聞は、ほとんど読まれた形跡はない。
きっと心優しい性格で、営業を断り切れずに取り始めたのだろう。
その新聞は激務に追われてゴミ出しすることもなく、次第に命を脅かすほどの体積に膨れ上がっていく。
布団は万年床で、ぺしゃんこになっていたが、なぜか二つ折りで畳まれたまま、何年も使用していないようだった。
その理由がわからずにいると、上東さんが教えてくれた。
「彼は、右か、左半身が病気になっていたんだと思うよ。
だからゴミに寄りかかりながら寝ていたんだと思う。
ほら、入り口に杖があったでしょ」
確かに半身を悪くしていれば、床に敷いた布団に寝て立ち上がることは困難だ。
だから、山田さんはどんなに寝心地が悪くても傾斜のある紙ゴミの山に体を横たえて寝るしかなかったのだ。
上東さんは、掃除機や雑巾、ホウキなどの掃除用具がまったくないことを指摘する。
長年、警備員として働いていた山田さんの身に異変が起こったのは、ここ数年のことだろう。
山田さんは、右足を負傷してから、杖を使うようになる。
杖なくしては立てなくなり、仕事も辞めて、徐々に家にひきこもるようになっていく。
足は日に日に悪くなり、自分の身体を呪う生活が続いたに違いない。
そして、セルフネグレクトになっていく。
半身が悪化する前後に、トイレに行くのもつらくなり、きっとペットボトルに小便をためて、用を足すようになっていった。
大便は近くのコンビニで済ませ、そのときに飲み物や食べ物を買うという生活を送っていたと上東さんは推測する。
傘は持てないため、雨の日はカッパで外出。
次第に生きる気力はなくなり、無気力になっていく。
私は山田さんのそんな生活を想像して苦しい気持ちになった。
今の窮地を相談する相手は、いない。
警備会社は流動的で人の出入りも激しいため、友人もいなかったのだろう。
地方に住む両親にも心配をかけられなかったのか。
心身は衰弱し、食べる気力もなくなって自暴自棄になっていく。
遺品を丁寧に片付けながら、上東さんは、そんな故人の逡巡する思いをゆっくりとたどっていく。
尿の入ったペットボトルは、男性の孤独死の部屋ではよく見つかる。
大抵、焼酎のペットボトルを尿瓶(しびん)代わりにして、尿をため込む。
しかし山田さんの部屋からは、500ミリのペットボトルしか、見当たらなかった。
時たまもよおす尿をゴミに寄りかかりながら小さなペットボトルに移すという日々が続いていたはずだと上東さんは指摘する。
そうかと、思うと、私も胸が締めつけられた。2リットルの水を買って自宅に運ぶことすらできないほど、体力が衰えていたのだ。
桜の咲く公園が近い自宅から、花見客で賑わう笑い声を聞きながら、山田さんは何を思っただろうか。
山田さんの部屋は薄暗く、寒さもこたえたはず。
電気代はわずかだったため、暖房もつけずに、毎日をしのいでいた。
冬は凍えるような寒さが、じわじわと山田さんの体力を無残にも奪っていく。
そして最期、山田さんは極度に衰弱し、ひっそりとゴミの中で息絶えてしまった。
山田さん、そして、何も知らず残された両親のことを思うと胸がキリキリと痛む。
「ご遺族は息子さんの死を引きずり続けると思うんです。
『なぜ一言話してくれなかったんだ』と。
山田さんが最期を迎える前に、両親に何らかのメッセージを残し、それを読んでいることを願いますね。
それさえできないほど彼が社会から追い込まれていたなら、この世の中や社会が腐っているのかもしれないね」
上東さんは物憂げな表情で、そう言った。
孤独死の現場から見えるのは、社会から一度孤立すると、誰にも助けを求められずに崩れ落ち、命を落としてしまう現役世代たちの最期の姿だ。

現役世代に救いの手を

内閣府は、最新となる2019年度版の『高齢社会白書』を6月18日に閣議決定した。
この中にわずかだが、孤独死についてのデータがある。
東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成29(2017)年に3333人。
この数が、前年度の3179人を上回り、過去最多を記録したのだ。
この白書からは、つまり高齢者に限っても、統計上、孤独死が増え続けていることが明らかになる。
現に同白書によると、平成15(2003)年の1451件からほぼ右肩上がりで上昇を続け、現在は約2倍以上に増加している。
また、同白書では、孤立死(誰にも看取られることなく亡くなった後に発見される死)を身近な問題だと感じる一人暮らし世帯では50.8%と5割を超えている。
もはや、孤独死は誰にとっても他人事ではない。
長年現場を取材している立場からすると、高齢者は一律に発見、日数も早いという特徴がある。
それに比べて、明らかに現役世代は長期間発見されず、悲惨な状態で見つかるケースが多いのだ。
孤独死は高齢者だけの問題ではない。
政府が現役世代まで引き延ばして統計を取れば、きっと恐るべき数字がたたき出されるはずである。
国が現役世代の孤独死の統計を取り、その実態が公にされることで、山田さんのような死を迎える人が少しでも減るような社会を望んでやまない。

菅野 久美子 : フリーライター

東洋経済ONLINE「孤独死した50代警備員の部屋に見た残酷な孤立-男は誰にも助けを求められずに最期を迎えた」より 2019/07/28

https://toyokeizai.net/articles/-/292854