http://keibihosho.blogspot.jp/2015/03/blog-post_21.html
法令遵守
2号警備を主業務とする警備会社A社から耳を疑いたくなるような話を聞いた。
「自主廃業したはずの警備会社が他県で業務再開している」。これだけであればよくある話だ。
しかし、その後に続く話で不穏な空気を察した。
「A社同様、2号警備をメインとするB社は廃業するという。そこでA社は、B社所有の資機材やトラックなどを購入。また、B社社員、さらにはB社社長も受け入れた。元社長には警備員指導教育責任者として警備部門の責任者を任せていたが、立入検査の直前に退職。同時に元B社社員も退職した。立入検査のために書類を確認してみると、警備員名簿など法定備付書類は作成していなかった」。
A社のみから聞いた話なので明確なことは言えないが、B社元社長の行動は計画的なもではないだろうか?
そこで、B社の登記簿を入手してみると驚くべきことが判明した。
まず、自主廃業とされていたが、会社は解散・清算されておらず存続していた。
そして、A社を退職する3か月前に他県に本店を移している。本店移転の際に取締役は全員入れ替わっており、B社元社長の名前はない。
さらに同時に辞めたB社元社員が取締役に名を連ねている。
繰り返すが、A社への取材と法人登記簿を調べた範囲での事実関係を列記したまでである。
不正・不法行為だと断定できるものは何もない。
しかしながら、自主廃業を持ちかけて資機材の売買代金を受け取り、社長はじめ社員を雇用してもらいながらも立入検査前に退職する。
しかも、自主廃業せず、退職する3か月前から他県に本店移転させていたという実態を照らし合わせると、疑わしい行為といわざるを得ない。
自主廃業が抜け道?
過去にも似たような事案がある。平成25年、違法な警備員派遣を繰り返した都内のC社は、労働者派遣法違反で東京地方検察庁に送検され、起訴猶予となった。
都公安委員会はC社社長と取締役に対し、警備員指導教育責任者資格者証などの返納命令を予定していた。
ところが、C社社長は警備業の認定証を自主返納、会社の整理に入ったことで法人への行政処分ができず、旧経営陣個人への処分に留まった。
平成26年には、新任教育の実施簿に虚偽記載があったとして福井県内の警備会社が警備業法違反の疑いで書類送検された。
この時も県公安委員会に警備業の認定証を返納、自主廃業した。
これにより、法人への行政処分が実質的に不可能となった。
この2つの事案では、認定証返納、自主廃業することで法人への行政処分を免れたことが共通する。
先の事案では、行政処分は受けていないものの、処分を見越して立入検査前に退職している。
資格者証の自主返納、会社の自主廃業、自主廃業を持ちかけ資機材の売買代金を受け取り、他県に移転する。
処分を受ける前に〝自主的〟に対処する。
その〝自主的〟には前向きな意味はまったく込められておらず、意図や目的が悪質だ。
冒頭、不穏な空気を察したと記したが、「自主的に、先回りして逃げる」と感じたからだ。
このような事案が増えるたびに、手口が巧妙になることが懸念される。
自主廃業が法律の抜け道となるのではないだろうか。
悪質な前例を作らないためにも、警備会社の法令遵守を徹底させる必要がある。
警備保障タイムズ「不正行為の抜け道を作るな!」より 2015/3/21
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