警備員の休憩・仮眠時間の労働時間性を認める! | 警備業界、警備会社、警備員における問題点   

2016年10月5日水曜日

警備員の休憩・仮眠時間の労働時間性を認める!

仙台中央法律事務所「事件報告」警備員の休憩・仮眠時間の労働時間性を認める!(2012年1月25日仙台地裁判決)より 2012/1/30


警備員の休憩・仮眠時間の労働時間性を認める!
(2012年1月25日仙台地裁判決)

宮城県立がんセンター(以下「がんセンター」といいます。)において警備員として勤務している原告らが、がんセンターとの間で保安・防災業務委託契約を締結し、原告らの雇用主であるビソー工業㈱に対して、休憩・仮眠時間も労働から解放されているとは言えないとして、同時間分の賃金支払を請求していた訴訟において、仙台地方裁判所第3民事部(関口剛弘裁判官)は2012年1月25日、原告らの請求をほぼ認容する判決を言い渡しました。
休憩時間や仮眠時間は賃金支払の対象とはならないのが原則です。
それは、休憩時間や仮眠時間は労働者が労働から解放されて自由に過ごせる時間だからです(労働基準法第34条3項)。
逆に、休憩・仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には、「労働時間」とみなされて賃金の支払が義務づけられます。
本件は、がんセンター警備員の休憩・仮眠時間が労働からの解放が保障されたものと言えるか否かが争点となっていました。
原告らは、実際に休憩・仮眠時間中に実作業に従事した例や、がんセンターとビソー工業㈱との間の業務委託仕様書の中で、「4人以上常時配置」しておくことが求められていること(4人体制のシフトのため休憩・仮眠者を除くと4人以上常時配置ができなくなる)などの事実・証拠を提出して、休憩・仮眠時間が労働からの解放されていないことを立証しました。
その結果、仙台地裁は、「原告らは、本件係争期間において、被告から、仮眠・休憩時間中、実作業に当たるとされていた2人・・・・では対応できない事態が生じた場合に業務に従事することを、少なくとも黙示的かつ包括的に指示され、義務付けられていたというべきであって、完全に労働からの解放が権利として保障された状態にあったということはできず、被告の指揮命令下にあったと認めるのが相当である。」と判示して、原告らの請求をほぼ認容する勝利判決を得ることができました(なお、付加金までは認容されませんでした。)。
この判決を契機に警備業務に従事する労働者の労働条件が改善・向上していくことを希望します。
また、国や自治体を含め警備業務を委託する側においても、警備員の労働条件に留意した契約金額を設定するような配慮が求められます。 (弁護士 野 呂 圭)

仙台中央法律事務所「事件報告」警備員の休憩・仮眠時間の労働時間性を認める!(2012年1月25日仙台地裁判決)より 2012/1/30

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